デンマークで学んだ手仕事紹介
春になり、何か新しいことに挑戦したいな、何か作りたいな、という気持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回はデンマークの手芸学校で学んだ手仕事について紹介したいと思います。
新しいものづくりの参考やきっかけになれば嬉しいです。
刺繍〜Embroidery〜
スカルス手芸学校の刺繍の授業ではデンマークの伝統的な白糸刺繍Hedebo(ヘデボ)を学びました。
1700年代にコペンハーゲン南西部の農村で生まれたHedebo刺繍は、ベッドリネンやカーテンなどの白い布に施され、デンマークの暗い冬に部屋の中を明るくする役割を果たしていたそうです。
リネンの糸を抜きながら刺すレースのように美しい刺繍は繊細で根気のいる作業ですが、完成した時の嬉しさは格別でした。
Hedeboに挑戦してみたい方には、同じスカルス手芸学校出身の佐藤ちひろさんの本『HEDEBO デンマーク伝統の白糸刺繍』(日本ヴォーグ社)がおすすめです。丁寧な解説で私も参考にした一冊です。
佐藤ちひろさんのウェブサイト
エコプリント〜Eco print〜
海外でじわじわと人気になっているエコプリント。
媒染処理をした生地に、花や葉を並べて密着させながら巻き、蒸し器に1時間ほど入れることで植物の色や形が直接生地にプリントされます。
簡単な工程でありながら葉脈などがはっきりと生地に写るのが驚きです。
植物の種類や摘む時期によって色が変わるので、どんな色で仕上がるかは生地を広げてからのお楽しみ。
授業では学校のガーデンから集めた花や葉のほか、玉ねぎの皮や草木染めをした後の残りの沈殿物などを使って染めました。
エコプリントは染色の歴史の中でも新しい技法で、オーストラリアのテキスタイルアーティストIndia Flintさんが卵の殻に偶然付いたユーカリの葉が綺麗にプリントされているのを見つけ、研究したことがきっかけだそうです。
彼女は知人たちから特許を取ることを勧められましたが、2008年に出版した本を通じてこの技法を世界中の人々と共有することを選びました。
日本語の情報が少ないエコプリントですが、シドニー在住のえみさんのこちらのサイトに詳しく書いてあるので、興味がある方はぜひ試してみてください。
草木染め〜Plant dyeing〜
デンマークの草木染めブランドのG-uldのワークショップでは、コチニールやインディゴ、ウォルナッツなどを使って草木染めのカラーチャートを作りました。
1回、2回…と色を重ねるごとに色味が変わり、草木染めの奥が深さを感じました。
特にインディゴ染めは釜の中では緑色ですが、空気に触れて乾かすうちに美しい藍色に変化するのがとても神秘的でした。
G-uldのインスタグラムは見ているだけでうっとりしてしまうような美しい色彩の糸がたくさん載っているので、ぜひ見てみてくださいね。
G-uld Instagram: @gulddk
https://www.instagram.com/gulddk/
バスケット編み〜Willow weaving〜
バスケットはデンマーク滞在中によく見かけたアイテムのひとつです。スカルス手芸学校のコースに参加しているおばあさん達が、作りかけの刺繍や編み物を入れて持ち歩いていたり、バスケットにワインボトルとグラスを入れてピクニックを楽しんでいる姿も見かけました。
ワークショップでは柳の枝を使い、2日間でバスケットを完成させました。
6本の枝で作った土台に、織物の要領で枝を編みつけていきます。
水を含んだ枝はしなやかですが、編むのはなかなかの力仕事でした。
完成したバスケットは、毛糸入れに使っています。
この春、新しい手仕事を初めてみませんか?そして皆さんのおすすめの手仕事があればぜひ教えてくださいね。
【筆者プロフィール】長澤舞香(ナガサワ マイカ)
美術系の学科を卒業後、アパレル企業に勤務。
2017年に手織工房じょうたにて「さをり織り」と出会い手織り作品の制作をはじめる。
2022年からデンマークのスカルス手芸学校に半年間留学し、手織り、編み物、刺繍など手芸全般を学ぶ。
現在は手芸店で働きながら、atelier cotton houseとして作品制作をしている。
Instagram/ @ateliercottonhouse
Photo & Text :Maika NAGASAWA
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